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第95話

 結局のところ。

 独房生活は3日で終りを告げた。

 なんか予想外に早かった上に。

 命令違反だなんだっていうのも不問に付されるらしい。

 まぁ、あの人にもいろいろと思惑とかあるんだろうけど。

 こっちとしては都合のいい結果になったというか。

 というか、さすがにエヴァに乗れなくなるっていうのはまずかったんだけどさ。

 とにかく、これで自由に動けるわけなんだけど。

 綾波の事を確かめないといけないんだよな。

 けど、どうすればいいのやら。



 最近綾波が訓練漬けになってるとか。

 ちょっと距離を置かれてるとか言っても。

 結局は一緒に住んでるわけで。

 話をしようと思えばそれなりに機会もあるんだけれども。

 どうにも話の持っていきようが思い付かないというか。

 ストレートに聞ければ楽なんだけど。

 それで綾波を通してあの人に話が行っちゃうのはまずいしなぁ。

 ・・・って悩んでても仕方ないんだよな。

「ねぇ、綾波。ちょっと聞きたい事があるんだけど・・・」

「・・・なに?」

 僕がそう声をかけると、綾波は読んでた本から顔を上げてくれた。

 こう普段どおりの態度だとかえって聞きにくかったりもしつつ。

「あのさ、作戦説明のときなんであんな事言ったの?」

「あんな事って?」

「アスカが出撃すると僕が悲しむとかなんとか・・・」

「・・・違うの?」

 いや、あっさりそう返されても困るんだけど。

「そうじゃなくて、多分アスカが危険な目にあうっていう意味だったんだろうけど、それがなんで分かったのかっていう・・・」

「どうしてそういう事言うの?」

 どことなくかなしげな口調。

「ど、どうしてって・・・」

 なんか綾波の気持ちを傷付けちゃったみたいなんだけど。

 何が原因なのか全く分からない。

「・・・碇君には分からないのね。」

 けれど、綾波は何かをあきらめたようにそう呟いて。

 そのまま読んでいた本に視線を戻してしまった。



 翌日、目が覚めると綾波はもういなくて。

 朝ご飯がひっそりと用意されていた。

 また訓練漬けなのかな。

 だけど、昨日のあれは何だったんだろう。

 はっきりさせようと思ったのに余計に訳が分からなくなった気がする。

 でも、ああ聞いたときに機嫌が悪くなったってことは。

 僕が『綾波は先の事を知らない』って思ってた事に対して怒ったってことなんだろうか。

 そうすると綾波も以前の記憶があるって事になるんだろうけど。

 怒る理由にはならないよなぁ?

 とりあえずアスカと相談かな・・・

 こういう時加持さんがいてくれればって思う。

 人生経験って大事だよなぁとか。



 教室に入ろうとすると何か違和感が・・・って綾波?

 なんで?

 周りの事なんて全く気にならない様子で静かに本を読んでる。

 と、アスカに引っ張るようにして廊下に連れ出された。

「ちょっと、何があったわけ?」

 綾波の方を顎でさしながらささやいてくる。

「何って・・・昨日ちょっと話して、それで機嫌悪くしたみたいで・・・」

 つられてこっちも小声になる。

「どんな事話したのよ。」

「ほら、作戦説明のときに綾波が言った事があるだろ?なんであんな事言ったのかって・・・」

「それでどうして機嫌が悪くなんのよ。」

「わかんないよ、そんなの。」

 僕が聞きたいくらい、ていうか。

「それでアスカに相談しようと思ってたんだよ。」

「はぁ?なんでアタシに。」

「そんな事言ったって他に相談できそうな相手もいないし・・・」

「むぅ・・・それもそうね。」

 頭を軽くかいて。

「ま、ここで話すのもなんだから昼休みに校舎裏ってことで。」

「・・・だね。」

 確かに周りの視線が痛い。

 それに、何か綾波がこっちに意識を向けてる気がするんだよなぁ・・・

 態度に出さないだけに余計怖いんだよね。

 何か言ってくれればどんなに楽か。



 で、昼休み。

 授業中、なんか針のムシロにいるような気分だった僕はいそいそと校舎裏に出かけたわけで。

「それで。どういう話をしたわけ?」

「実は・・・」

 って言うほど長い話でもなかったけど。

「うーん、分かったような分からないような・・・」

「ほんとに?」

「まぁ、ファーストもアタシ達と『同じ』みたいだけど。」

「アスカもそう思うんだ?」

「なんか、聞いてる分には知ってて当然って態度だったみたいだし・・・でも、そう考えると・・・」

 そう言って軽く首をかしげる。

「アスカ?」

「やっぱりアンタの事もばれてんじゃないの?」

 しばらく悩んだ挙げ句。

 アスカはそんな事を言い出した。

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