第93話
綾波の事は非常に気になったんだけど。
とりあえずは使徒戦が控えているわけで。
僕もなぜか初号機に乗って待機を命じられてしまった。
初号機の中。
ずいぶんひさしぶりで。
なんだか懐かしくさえある。
もっともそう感じるのは別の理由もあるんだろうけれど。
『ここ』には僕を守ろうとしてる気配がある。
その事が、シンクロしてない今でも感じられる。
多分それが母さんなんだろうな。
だけど、前はこんな事分からなかったのに。
やっぱり暴走したおかげ、なんだろうなぁ。
あれのおかげずいぶん感覚が鋭くなってる気はするし。
これでシンクロできればもっといろいろな事が分かるような気もするんだけど。
今はそれよりもアスカの事だよな。
『別に命まで取られるわけじゃないし。』
ってアスカは言ってたけど。
それですむ問題じゃないし。
綾波が『槍』をなげるまでずっと精神攻撃を受け続けてなきゃいけないわけで。
前のときのあの悲鳴とか思い出しちゃうんだよなぁ・・・
そんな事を考えてるうちに作戦が開始されて。
アスカが射撃体勢に入ったと同時に使徒の精神攻撃が始まったわけで。
『人の頭ん中覗いてんじゃないわよっ。』
『アスカ、いったん退却しなさい。』
『じょーだん、負けられないのよ、こんな奴にぃ。』
ここで退却したらまた話が変わってきちゃうんだけど。
急遽綾波が出撃して使徒に攻撃したんだけど当然ATフィールドにはじかれて。
その間もアスカの悲鳴が聞こえるわけで。
ってさぁ。
こんなの黙って見てられるわけないだろう!?
これじゃあヤシマ作戦のときと一緒じゃないか。
あんなのはやめるって決めたんだ。
「ミサトさん。」
『シンジ君?』
「出撃します。」
『ちょ、ちょっと待ちなさい、初号機は凍結処・・・』
それをさえぎるようにあの人の声がかぶる。
『いかん、目標はパイロットの精神を侵食するタイプだ。今、初号機を侵食される危険は避けねばならん。』
「そんなの知った事じゃない!」
母さんっ。
「アスカを助けたいんだ。何もできずに見てるだけなんて嫌なんだ。」
だから力を貸して。
それだけで。
あっさりとシンクロが始まる。
僕と初号機の感覚が重なる。
でも、溶け合うわけじゃない。
『そんな、こちらからは何もしていないのに・・・』
「初号機を射出して下さい。さもないと無理矢理出撃します。」
これくらいの拘束具なら楽に破壊できる。
『初号機のLCL濃度を上昇させろ。』
『司令?』
『早くしろ。』
・・・前はそれで気絶するはめになったけどね。
今の初号機にそんな干渉はできないと思うよ?
『駄目です。信号を受け付けません。』
ほら。
でも、この調子じゃ素直に出撃させてくれそうにないよな。
仕方ない、か。
拘束具を引き千切るために全身に力を入れる。
と。
『やむをえん。初号機を射出。』
『よろしいんですか。』
『かまわん・・・レイ、ドグマに降りて槍を使え。』
その後もなんかごちゃごちゃやってたけど、それはもうどうでもいい。
地上に出ると、弐号機は頭を抑え体を丸めるようにしていた。
途切れ途切れにアスカの苦しげな呟きが聞こえる。
こうなるって分かっちゃいたけどっ。
自分の間抜けさに腹が立つ。
とにかくアスカをかばうように初号機を動かして・・・
ってなんだこれ?
記憶が引きずり出される?
楽しい事も悲しい事も苦しい事もつらい事もなにもかも。
覗かれてる。
それがはっきり分かる。
最低な気分。
何より最低なのは、つらかった事を再体験させられるって事で。
綾波やアスカやカヲル君や母さんや・・・
「もうたくさんなんだよっ。」
僕は叫んでいた。
「こんな事、二度も三度も見たくないんだよ!」
その瞬間。
すべての音が消えた。
・・・また、この感覚か。
こうなるとなんかさめちゃうんだよな。
どこかが麻痺してるだけって気もするんだけど。
気付いたら記憶をほじくり返されるのが止まってた。
というよりはATフィールドではじいてるんだな、多分。
何か『触ってきてる』感触があるし。
なんにしても。
これなら綾波が『槍』を投げるまでは耐えられそうだな。
アスカの方も落ち着いてるらしい。
『・・・ったく、なに出てきてんのよ。』
あきれたような通信が入ってくる。
「仕方ないだろ、黙って見てなんていられなかったんだ。」
『ま、おかげで助かったわ。正直気持ちのいいものじゃなかったし。』
「だろうね・・・」
実際に受けないとわかんないだろうな、アレは。
アスカも、よく二度目を受けようって気になったよな・・・
さすがというか、何というか。
そんな事を思っていると。
『・・・ファーストが出てきたわね。』
『槍』を取に行って戻ってきたのか。
ゆっくりと零号機が上がってくる。
そして。
前回と同じように。
零号機によって投擲された『槍』はあっさりと使徒を殲滅した。
とりあえずは使徒戦が控えているわけで。
僕もなぜか初号機に乗って待機を命じられてしまった。
初号機の中。
ずいぶんひさしぶりで。
なんだか懐かしくさえある。
もっともそう感じるのは別の理由もあるんだろうけれど。
『ここ』には僕を守ろうとしてる気配がある。
その事が、シンクロしてない今でも感じられる。
多分それが母さんなんだろうな。
だけど、前はこんな事分からなかったのに。
やっぱり暴走したおかげ、なんだろうなぁ。
あれのおかげずいぶん感覚が鋭くなってる気はするし。
これでシンクロできればもっといろいろな事が分かるような気もするんだけど。
今はそれよりもアスカの事だよな。
『別に命まで取られるわけじゃないし。』
ってアスカは言ってたけど。
それですむ問題じゃないし。
綾波が『槍』をなげるまでずっと精神攻撃を受け続けてなきゃいけないわけで。
前のときのあの悲鳴とか思い出しちゃうんだよなぁ・・・
そんな事を考えてるうちに作戦が開始されて。
アスカが射撃体勢に入ったと同時に使徒の精神攻撃が始まったわけで。
『人の頭ん中覗いてんじゃないわよっ。』
『アスカ、いったん退却しなさい。』
『じょーだん、負けられないのよ、こんな奴にぃ。』
ここで退却したらまた話が変わってきちゃうんだけど。
急遽綾波が出撃して使徒に攻撃したんだけど当然ATフィールドにはじかれて。
その間もアスカの悲鳴が聞こえるわけで。
ってさぁ。
こんなの黙って見てられるわけないだろう!?
これじゃあヤシマ作戦のときと一緒じゃないか。
あんなのはやめるって決めたんだ。
「ミサトさん。」
『シンジ君?』
「出撃します。」
『ちょ、ちょっと待ちなさい、初号機は凍結処・・・』
それをさえぎるようにあの人の声がかぶる。
『いかん、目標はパイロットの精神を侵食するタイプだ。今、初号機を侵食される危険は避けねばならん。』
「そんなの知った事じゃない!」
母さんっ。
「アスカを助けたいんだ。何もできずに見てるだけなんて嫌なんだ。」
だから力を貸して。
それだけで。
あっさりとシンクロが始まる。
僕と初号機の感覚が重なる。
でも、溶け合うわけじゃない。
『そんな、こちらからは何もしていないのに・・・』
「初号機を射出して下さい。さもないと無理矢理出撃します。」
これくらいの拘束具なら楽に破壊できる。
『初号機のLCL濃度を上昇させろ。』
『司令?』
『早くしろ。』
・・・前はそれで気絶するはめになったけどね。
今の初号機にそんな干渉はできないと思うよ?
『駄目です。信号を受け付けません。』
ほら。
でも、この調子じゃ素直に出撃させてくれそうにないよな。
仕方ない、か。
拘束具を引き千切るために全身に力を入れる。
と。
『やむをえん。初号機を射出。』
『よろしいんですか。』
『かまわん・・・レイ、ドグマに降りて槍を使え。』
その後もなんかごちゃごちゃやってたけど、それはもうどうでもいい。
地上に出ると、弐号機は頭を抑え体を丸めるようにしていた。
途切れ途切れにアスカの苦しげな呟きが聞こえる。
こうなるって分かっちゃいたけどっ。
自分の間抜けさに腹が立つ。
とにかくアスカをかばうように初号機を動かして・・・
ってなんだこれ?
記憶が引きずり出される?
楽しい事も悲しい事も苦しい事もつらい事もなにもかも。
覗かれてる。
それがはっきり分かる。
最低な気分。
何より最低なのは、つらかった事を再体験させられるって事で。
綾波やアスカやカヲル君や母さんや・・・
「もうたくさんなんだよっ。」
僕は叫んでいた。
「こんな事、二度も三度も見たくないんだよ!」
その瞬間。
すべての音が消えた。
・・・また、この感覚か。
こうなるとなんかさめちゃうんだよな。
どこかが麻痺してるだけって気もするんだけど。
気付いたら記憶をほじくり返されるのが止まってた。
というよりはATフィールドではじいてるんだな、多分。
何か『触ってきてる』感触があるし。
なんにしても。
これなら綾波が『槍』を投げるまでは耐えられそうだな。
アスカの方も落ち着いてるらしい。
『・・・ったく、なに出てきてんのよ。』
あきれたような通信が入ってくる。
「仕方ないだろ、黙って見てなんていられなかったんだ。」
『ま、おかげで助かったわ。正直気持ちのいいものじゃなかったし。』
「だろうね・・・」
実際に受けないとわかんないだろうな、アレは。
アスカも、よく二度目を受けようって気になったよな・・・
さすがというか、何というか。
そんな事を思っていると。
『・・・ファーストが出てきたわね。』
『槍』を取に行って戻ってきたのか。
ゆっくりと零号機が上がってくる。
そして。
前回と同じように。
零号機によって投擲された『槍』はあっさりと使徒を殲滅した。