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第84話

 どうこう言いつつも。

 結局は綾波と一緒に行動してるんだよな。

 とか学校行きながら思ったり。

 ここ2、3日は訓練がないらしく、ずっと綾波が隣に居て。

 軽く体が触れてしまいそうな距離を保ってる。

 最初は戸惑ったものの、人間ってけっこう簡単に慣れてしまう物らしく。

 今ではこうしてる方が自然になりつつある。

 まぁ、綾波が変にべたべたしてこないってのも理由の一つなんだろうけど。

 ただ、そばに居るだけなんだよね。

 綾波から話し掛けてくることなんてほとんどないし。

 だから登校中に一言も話さないなんて事も結構あるわけで。

 僕の方も黙ったままでいることに苦痛を感じなくなってきてるし。

 前の世界では何も言わずにいるなんて耐えられなかったもんな。

 もっとも、前はこういう関係でもなかったんだけど。

 あの頃は単純に綾波と話がしたいっていうのがあったし。

 だから他愛もない事でもなんでもとにかく話し掛けてたんだよね。

 内心では迷惑がられてないかなぁとか不安になったりして。

 で、返事をしてもらったら嬉しくて。

 そんなのを繰り返してた気がする。

 まぁ、話がうまいわけでもないから、まともに話が続く事もなかったんだけどさ。

 それでも楽しかったんだよね。



 そういえば、この時期になるとアスカとの関係がギスギスしちゃってたし。

 おかげでたいてい綾波と一緒に居るようになってた気がする。

 だけど。

 綾波が僕の事をどう思ってたのかっていうのはよく分からないんだよな、結局。

 僕の方は絆みたいな物を勝手に感じてたんだけど。

 思い込み以上の物でもなかった気がするし。

 ・・・やめよう。

 なんか考えが取り留めなくなってるし。

 これ以上考えてもろくな結論にならない気がする。

 まして答えを出さなきゃいけないようなものでもないし。

 そう思って軽く首を振ったら。

「どうしたの?」

 って問い掛けられてちょっと驚いた。

「ちょっと考え事しててさ・・・」

 ってごまかそうとしたんだけど。

 なんかじっと見詰められてしまって。

 かといって何を考えてたかなんて言えないし。

 そう思ってくちごもっていたら。

「あの人の事を考えていたの?」

 重ねて聞かれて。

「あの人って・・・ああ、アスカの事?」

 違うよ、って言おうとしたら。

「やっぱり名前で呼ぶのね。」

「・・・綾波?」

 何が、言いたいんだ?

「・・・・・・何でもないわ。」

 思いっきり何でもないって感じじゃないんだけど。

 綾波のことは名字で呼んでるから気にしてるのかな?

 にしてもいまさらな話だって気もしつつ。

 ってそういえばアスカの事を名前で呼ぶようになったのは最近なんだっけ。

 『アスカ』って呼ぶ方が自然なんだよね。

 だからずっとそう呼んでた気になってたけど。

 逆に綾波の事は『綾波』の方がしっくりきちゃうし。

 さすがに『レイ』とは呼べないよなぁ・・・

 そう考えると女の子で呼び捨てにしてるのってアスカだけなのか。

 まぁ、アスカは綾波とはまた違う意味で女の子としては見てないんだけど。

 いや、前はこういろいろとあったんだけどさ。

 っていうか、むしろそのせいなんだろうか。

 なんか戻ってきてからはそういう気持ちをもてなくなっちゃったんだよね。

 アスカも『同じ』だって知ってからはなおさらに。

 とか思ってる間にも綾波はペースを変えずに歩き続けてて。

 僕もそれに合わせたんだけど。

 綾波ってアスカが絡むと過敏に反応するんだなってのを改めて思い知らされた気がする。

 アスカがどうこう言ってたのも考え過ぎじゃないみたいだな。

 とはいえ、当たり前の事を確認するような感じもあったんだよね。

 何がどうっていうのまではうまく言えないんだけど。

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