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第81話

 とは言っても。

 先にいろいろ控えてると、綾波の事ばかりで悩んでもいられないわけで。

 放課後に訓練に行ったんだけど 。

 そこでミサトさんからされた話っていうのが。

「・・・凍結処分、ですか?」

 まぁ、予想はしてたんだけどさ。

「そうよ。当分の間、初号機は使えない事になるわ。」

「当分ってずいぶんあいまいですよね。」

 僕がそう言うとミサトさんはちょっと顔をしかめた。

「ここだけの話、司令からの命令で仕方なくって感じなのよね。」

「司令の?」

 なんとなくあの人を「父さん」とは呼びたくなかった。

 まぁ、くだらないこだわりなんだけど。

「ずいぶん他人行儀な呼び方なのねぇ・・・って、まぁ、いいわ。」

 怪訝そうな顔をしながらも、ミサトさんは事情について説明してくれた。

 とはいえ、たいしたことは聞けなかったけど。

 まぁ、話せる事と話せない事があるのは当然なんだろうけど。

 前回の戦闘で使徒の体組識を取り込んでしまったので。

 その影響に関して調査が終るまでは、って事らしい。

 ・・・あの時は初号機に引きずられるようにして使徒にかぶりついてたけど。

 正気になってみれば、よくあんなことしたよなって感じだった。

 けど、あの時に取り込んだのがアスカの言ってたS2機関とかいうやつなんだろうな。

 あれを食べた瞬間から力がみなぎってくるような気がしたし。

 アンビリカルケーブルから伝わってくる物よりもずっと。

 あれならケーブルなんて必要ないかもしれない。

 まぁ、それはそれとして。

「もし調査が終るまでに使徒が来たらどうなるんですか?」

 前の時はそうなっちゃったわけだし。

 今度は僕のサルベージとかないから、その分時間は取れるんだろうけど。

「・・・何とも言えないわ。」

「司令の判断次第って事ですか?」

「そういう事になるわね・・・」

 それじゃ、期待はできないな。

 しかし初号機が使えないとなると厳しい。

 次の使徒戦は何もできなくなっちゃうし。

 アスカは前と同じやり方で倒すつもりみたいだから。

 それでもいいって言うんだろうけど。

 何とかしたいんだよね。



 その後、いつも通りにシンクロテストとかもしたんだけど。

 なんかひどく違和感があって。

 今まではそんなの感じなかったのに。

 で、そう言ったら驚かれた。

 今日のテストは模擬体を使ってたらしい。

 よく分かったわね、ってリツコさんに言われたんだけれども。

 なんかシンクロに関してはひどく感覚が鋭くなってる気がする。

 あの時の初号機との一体感に比べちゃうと何もかもがぼやけてる感じなんだよなぁ。

 とはいえ、あれを経験してるおかげなんだろうか。

 あっさりとアスカのシンクロ率を抜いちゃったんだよね。



 綾波は相変わらず一人で残されていて。

 僕は実験が終るのを待ってぼーっとしていた。

「なにボケボケしてんのよ。」

「あぁ、アスカ。」

 見上げるとアスカがあきれた顔をしてた。

「いや、綾波を待ってるんだけど、ヒマでさ。」

「ふぅん・・・にしても、ファーストばっかり居残りが多いわよね。シンクロ率が不安定だったっていうのは直ってないのかしら。」

「ミサトさんとかから聞いてないの?」

「何でアタシがわざわざファーストのことを聞くのよ。」

 それもそうか。

「それに他人のシンクロ率に興味なんてないし。」

「そうなんだ?昔はずいぶん気にしてたみたいだけど。」

「昔はエヴァに乗る事自体が目的になってたから。」

 肩をすくめながらそんな事を言う。

「だからシンクロ率が高い方が偉い、って・・・今考えるとバカよねぇ。」

「そうやってしみじみ語られてもさ。」

 おかげであの頃どれだけギスギスしてたか。

 それだけが原因でもないんだけどさ。

「シンクロ率がいくら高くたって使徒が倒せなきゃ意味ないんだし。」

「逆に低くても使徒に勝てればそれでいいって?」

「まぁね。」

「そういう意味では今度の戦いでは役に立てそうに無いんだよね・・・」

「別にソレに関しては前とおんなじでいいって言ったじゃない。」

「でも。」

「いくらなんでも命令無視して出撃するわけにもいかないでしょうが。」

「それはそうなんだけどさ。」

 そう答えはしたものの。

 最悪、無理やり出撃って言うのも仕方ないよな、とは思い始めていた。

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