第69話
後は前と変わらなかった。
勝手に動き出した初号機が、首にかかっていた使徒の手をあっさりと引き剥がし。
そのままの勢いで使徒に襲いかかっていった。
そして、ほとんど抵抗もさせずに使徒の体を引き裂いていく。
初号機とのシンクロをたたれてしまったから。
それはどこか別の世界の出来事のようで。
僕はそんな光景をただ眺める事しかできず。
なかばあきらめの境地に達していた。
けれど。
ちぎられた腕や。
叩き潰された頭部。
引きずり出されたエントリープラグ。
そういった物を見て、思い出した。
このエントリープラグにトウジが乗ってるのを見た時のやりきれない思いと。
何もできなかった無力感を。
・・・バカだよな、僕は。
この世界がどう、とか。
やり直せたことになるのか、とか。
そういうのはたいした問題じゃなくて。
目の前で人が傷つくのを見てほうっておけるのかって。
単にそれだけなんだって。
そんなの当たり前のことだったはずなのに。
『手を伸ばして、それで誰かが助けられるなら。そうしたら手を伸ばすんじゃないの?』
前にアスカに言った言葉。
自分で言ってて忘れてた。
ほんとにバカだ。
それに。
今、黙って見てたら。
きっと悔やむことになる。
絶望も後悔も。
あんなのは一度きりでいい。
もうたくさんだ。
「何度もあんな思いはしたくないんだ!」
思わず声に出して叫んでた。
「だから・・・・・・止まってよっ!」
そう叫んだ瞬間、時間が止まった。
それはただの錯覚だったのかもしれないんだけれど。
気が付いたら感覚が戻ってきていた。
これは・・・コントロールを取り戻せたのか?
右手をゆっくり持ち上げてみる。
大丈夫、ちゃんと動く。
いや、それどころか、いつも以上にはっきりと初号機のことを感じられる。
まるで自分の体のように。
だから右手に握っているエントリープラグのことも感触で分かった。
かなり力を込めてしまったみたいだけれど。
まだ原形をとどめてるみたいだった。
これなら何とか間に合ったのかもしれない。
エントリープラグを地面に置いて、初号機を降りる。
トウジのことを確認したかったんだけれど。
プラグが歪んでるせいでハッチが開けられず。
その場でぼーっとすることしかできなくて。
おまけに医療班の人たちが来たら邪魔物扱いされて。
さらに零号機の回収とかもやらされる羽目になって。
結局トウジがどうなったのかは分からずじまいになってしまった。
それで第三新東京市に戻ってきたわけなんだけれど。
さすがに前回みたいなことをするつもりもないわけで。
だから、独房に入れられたりとかってこともなく。
自由に動き回れたから。
トウジのところに行こうかとも思ったんだけど。
よく考えたらすぐに次の使徒がくるんだよね。
しかもとんでもなく強いやつが。
そう考えると、アスカに会ったほうがいいな。
今までのことをきちんと話して。
それで対策を練ったほうがいい。
隠し事をしてたっていうのがちょっと後ろめたいし。
そのことで怒られるかもしれないし。
もしかしたら前以上にひどい関係になっちゃうかもしれないけれど。
それでも、この先のことを上手くこなしていくにはアスカの力が必要だから。
僕一人じゃどうにもならないって思い知らされたから。
で、アスカを探してネルフの中を歩きまわってたら。
「なにうろうろしてんのよ、シンジ。」
って後ろから声をかけられて。
え、『シンジ』って?
振り向くと、ひどく真剣な顔をしたアスカが立っていた。
「惣流さん・・・?」
そう呼ぶとアスカは顔をしかめたみたいだった。
「今更そんな呼び方しないでほしいんだけど。」
・・・これは、もしかして。
「分かってんでしょ?アタシとアンタが『同じ』だって。」
勝手に動き出した初号機が、首にかかっていた使徒の手をあっさりと引き剥がし。
そのままの勢いで使徒に襲いかかっていった。
そして、ほとんど抵抗もさせずに使徒の体を引き裂いていく。
初号機とのシンクロをたたれてしまったから。
それはどこか別の世界の出来事のようで。
僕はそんな光景をただ眺める事しかできず。
なかばあきらめの境地に達していた。
けれど。
ちぎられた腕や。
叩き潰された頭部。
引きずり出されたエントリープラグ。
そういった物を見て、思い出した。
このエントリープラグにトウジが乗ってるのを見た時のやりきれない思いと。
何もできなかった無力感を。
・・・バカだよな、僕は。
この世界がどう、とか。
やり直せたことになるのか、とか。
そういうのはたいした問題じゃなくて。
目の前で人が傷つくのを見てほうっておけるのかって。
単にそれだけなんだって。
そんなの当たり前のことだったはずなのに。
『手を伸ばして、それで誰かが助けられるなら。そうしたら手を伸ばすんじゃないの?』
前にアスカに言った言葉。
自分で言ってて忘れてた。
ほんとにバカだ。
それに。
今、黙って見てたら。
きっと悔やむことになる。
絶望も後悔も。
あんなのは一度きりでいい。
もうたくさんだ。
「何度もあんな思いはしたくないんだ!」
思わず声に出して叫んでた。
「だから・・・・・・止まってよっ!」
そう叫んだ瞬間、時間が止まった。
それはただの錯覚だったのかもしれないんだけれど。
気が付いたら感覚が戻ってきていた。
これは・・・コントロールを取り戻せたのか?
右手をゆっくり持ち上げてみる。
大丈夫、ちゃんと動く。
いや、それどころか、いつも以上にはっきりと初号機のことを感じられる。
まるで自分の体のように。
だから右手に握っているエントリープラグのことも感触で分かった。
かなり力を込めてしまったみたいだけれど。
まだ原形をとどめてるみたいだった。
これなら何とか間に合ったのかもしれない。
エントリープラグを地面に置いて、初号機を降りる。
トウジのことを確認したかったんだけれど。
プラグが歪んでるせいでハッチが開けられず。
その場でぼーっとすることしかできなくて。
おまけに医療班の人たちが来たら邪魔物扱いされて。
さらに零号機の回収とかもやらされる羽目になって。
結局トウジがどうなったのかは分からずじまいになってしまった。
それで第三新東京市に戻ってきたわけなんだけれど。
さすがに前回みたいなことをするつもりもないわけで。
だから、独房に入れられたりとかってこともなく。
自由に動き回れたから。
トウジのところに行こうかとも思ったんだけど。
よく考えたらすぐに次の使徒がくるんだよね。
しかもとんでもなく強いやつが。
そう考えると、アスカに会ったほうがいいな。
今までのことをきちんと話して。
それで対策を練ったほうがいい。
隠し事をしてたっていうのがちょっと後ろめたいし。
そのことで怒られるかもしれないし。
もしかしたら前以上にひどい関係になっちゃうかもしれないけれど。
それでも、この先のことを上手くこなしていくにはアスカの力が必要だから。
僕一人じゃどうにもならないって思い知らされたから。
で、アスカを探してネルフの中を歩きまわってたら。
「なにうろうろしてんのよ、シンジ。」
って後ろから声をかけられて。
え、『シンジ』って?
振り向くと、ひどく真剣な顔をしたアスカが立っていた。
「惣流さん・・・?」
そう呼ぶとアスカは顔をしかめたみたいだった。
「今更そんな呼び方しないでほしいんだけど。」
・・・これは、もしかして。
「分かってんでしょ?アタシとアンタが『同じ』だって。」