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第65話

 そんなこんなで綾波とは一応仲直りしたんだけれども。

 その後が結構大変で。

 とりあえず加持さんに連絡して。

 晩御飯にしようと思ったら、冷蔵庫にはほとんど何もなくて。

 思わずこれまでどうしてたのか聞いたら。

「・・・面倒だったから。」

 と言ってコンビニ弁当の空き箱を指し示された。

 なんというか、家事全般まったくやっていなかったらしい。

 それなら部屋の荒れ様も納得だよなぁって。

 それで、仕方ないので買い物行って。

 食事の後で部屋の掃除をして。

 そのあたりで疲れてきたので寝ることにしたんだけれど。

 翌日綾波と一緒に学校行ったら、周りの視線が痛いんだよねぇ。

 どんな風に思われてるかって言うのも想像つくし。

 仕方ないかとも思うんだけれど。

 気になることはなるわけで。

 それに引き換え、綾波はまったく気にしていないようで。

 綾波といい、アスカといい、そういうとこはうらやましいよなって思ったり。



 そんな居心地の悪い雰囲気のまま校舎に入ると。

 下駄箱のところにアスカが居て。

「あ、おはよ、サード」

 って屈託なく挨拶してくれたんだけれど。

 その瞬間に綾波のほうから殺気が漂ってくるし。

 おまけにそれを見たアスカが面白そうに笑うものだから、ますます綾波の機嫌が悪くなって。

「碇君、行きましょう。」

 そう言って二、三歩進み。

 ゆっくりとこっちを振り向いてそのままじっと僕の方を見てる。

 ふぅ。

 仕方ない。

 アスカに軽く目礼して、綾波を追いかける。

 綾波はそれに満足したように前を向いてすたすたと歩いていってしまって。

 アスカは肩をすくめて苦笑いした。

 まるで「アンタも大変ねぇ」って言ってるみたいに。

 僕も苦笑するしかなかったんだけど。

 それを見られてたらもっとひどいことになってただろうな。

 しかし、アスカと綾波ってなんか昔と立場が逆って言うか。

 前はアスカが突っかかって、綾波は興味なさそうにしていたんだけれど。

 今は綾波がムキになってるみたいで、アスカは軽くそれを流してる。

 これが一年分の余裕なんだろうか。

 まぁ、それだけでもないんだろうけれど。

 実際僕はろくに成長していないわけで。

 比べてみると情けないものがあるけれど。



 教室に入るときもやっぱり注目されたわけで。

 それでも、綾波が周りを寄せ付けないような雰囲気を放っていたおかげでだいぶマシだったんだけれど。

 陰でなに言われるかわかんないよなぁって。

 ちらちらと視線が向けられてるのは感じるしさ。

 しかし、今の綾波って、子犬をまもってる母犬っていうか。

 なんかそんな感じなんだよなぁ。

 あながちペット扱いっていうのも外れてないんじゃ、とか思ったりもしたけれど。

 もっとも、今はさっきのアスカとのことがあるせいか、僕に対してもちょっときつい感じなんだよね。

 ・・・アスカと話したりするのには気を使わないとな。

 っていうか綾波がそばにいると無理なんじゃないだろうか。

 まぁ、それはそれでいいけどさ。

 アスカの笑う顔が目に浮かぶなぁ。



 で、その予想はあたったらしく。

 次にアスカとまともに話したのは、三日後のシンクロテストのときだった。

 相変わらず綾波のテストだけ長引いていて。

 おかげで話す時間が取れたんだけれど。

「とりあえず元のさやに収まったってヤツ?」

「どうだろうね?」

 前はもう少し距離を置いた関係だった気がするんだよなぁ。

 それがいやだって訳じゃないんだけどさ。

「にしても・・・あそこらへんのこととか解決したわけ?」

「ああ、関係なくなったからね。」

「どういうことよ?」

 さすがに不思議そうな顔してるな。

「もう綾波が父さんと何しててもかまわないしさ。たとえ嘘つかれてるとしても・・・ね。」

「・・・単にアンタがべたぼれだったってオチ?」

「そんなうんざりした顔しないでほしいんだけど?」

「こんなのろけ話聞かされたら誰だってそうなるわよ。」

「そういうんじゃないんだけどな。」

 綾波が何してようとどうでもいいってだけなんだから。

 僕が、綾波のことを心配してるってだけで。

 その気持ちには綾波がどうした、なんてことは関係ないから。

 見返りに何かして欲しいって訳でもないし。

 まぁ、っそれを指して「べたぼれ」って解釈したのかもしれないけれど。

 そういう意味で「好き」なわけでもない。

 家族とか、妹とか。

 そんな風にしか思えないんだよね。

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