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第61話

「ちょっと、どういうことよ?」

 ミサトさんに食って掛かってるアスカ。

 まぁ、口調とかは結構穏やかなんだけれど。

 いきなり、

「今回はあなたたち二人でやってもらうことになるわ。」

 って言われたにしては、ね。

 僕のほうはそれを聞かされてまず悩んじゃったからな。

 そこら辺はやっぱり性格の差なんだろうか。

「そもそも、ファーストはどうしたのよ。」

 確かにそれは気になってたんだよね。

 実際、今もここにいないわけだし。

「レイは今シンクロ率が不安定なのよ。」

 困ったように言うミサトさん。

「不安定ってどういうことですか?」

 思わず口をはさんでしまう。

「最近かなりシンクロ率にばらつきがあるみたいなの。特にここ数日はひどくて。」

「そう、なんですか?」

「ここんとこレイだけシンクロテストで残ってたでしょ?」

「・・・そういえば。」

 確かにそういうことはあったんだけど。

 父さんがらみのなんかだろうって気にも留めてなかった。

「それで、エヴァに乗れないくらいなわけ?」

「歩くだけなら何とかってレベルね。」

 硬い表情で返してくる。

「・・・そこまでひどいんですか?」

「ええ。リツコいわく、原因は精神的なものだろうって言うんだけど。」

「精神的なもの、ですか?」

「前に起動実験に失敗したのは知ってるでしょ?そのときの原因もレイの不安だったって言うから・・・」

 最近って・・・僕とごたごたしたことが原因とか?

 いや、まさかね。

 綾波には父さんさえいれば・・・

 そんな僕の考えをさえぎるように。

「まぁ、そういうことなら仕方ないわよね。」

 そう言ってため息をつく。

「さ、いきましょ、サード。」

「わかった。」

 少なくとも。

 今は、悩んでる場合じゃない、か。



 空中に浮かぶ使徒から少し距離を取って待機する。

 確かこの使徒の本体は地上の影の方、だったんだよな。

 今度は飲み込まれないようにしないとな。

 また出てこられるって保証は無いし。

 そういう意味では綾波が出撃してないのはかえってよかったのかもしれない。

 アスカならその辺はわかってるはずだから注意してるだろうし。

 ただ、問題はどうやって倒すかだよなぁ。

 前回は暴走した初号機が倒したわけで。

 僕は何も覚えてないときてる。

 普通に攻撃してもムダだろうし。

 ・・・結局、飲み込まれるしかないのかな。

 もっとも、暴走してくれるかどうかなんて分からないから。

 それじゃあ勝てないのかもしれないけれど。

 ほかの手は思いつかないんだよなぁ。

「で、作戦は?」

「相手のことがほとんどわからないのよね。慎重に接近して反応をうかがい、可能であれば市街地上空外への誘導、ってとこね。」

 相変わらずアバウトだよな。

 まぁ、作戦の立てようがないっていうのも事実だけれどさ。



 じわじわと近づいてはみたものの。

 特に使徒に動きは見られなくて。

 ゆっくりと上空をただよっている。

 前は、こっちの攻撃に反応したんだよな。

 と。

「ミサト、様子見でちょっと攻撃してみたいんだけど。このままじゃ埒があかないわ。」

 アスカがこんなことを言い出した。

「そうね・・・だけど十分注意して。」

「わかってるわよ。」

 そう言って使徒に攻撃をかけて。

 その瞬間上空の球体が消えた。

「パターン青!使徒発見!弐号機の直下ですっ!」

 オペレータの人がそう叫ぶのと。

 弐号機が飛びすさるのはほぼ同時だった。

 そして球体があった場所を中心に、地面に広がった黒い影がビルを飲み込んでいく。

「・・・すごいな。」

 ある意味壮観だった。

 って、のんびり見てる場合じゃないな。

 僕のところまで影が伸びてきてる。

 で、距離を取ったところでミサトさんから通信が入った。

「シンジ君、アスカ、ひとまず撤退よ。」

「わかりました。」

 そう答えながら。

 ほんとにこんな使徒に勝てるんだろうかって、そんなことを思った。

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