第6話
ネルフに向かう道すがら。
綾波は一言もしゃべらなくて。
ただもくもくと着いてきてるだけなんだけれども。
まぁ、僕のほうからも話しかけたりしてないっていうのもあるんだけどさ。
そもそもどんな話題を持ち出せばいいのかなんて思いつかないし。
そういえば、綾波がどんなことに興味を持ってるかとか、そんなことはほとんど知らないんだよな。
でも、あの頃綾波と話したことってなんか他愛もないことばかりだった気がするな。
綾波はそれをただ静かに聞いてくれて。
たまに、かすかな反応を見せてくれる。
そんななんでもないひとときだったんだけど。
あの時の僕は幸せだったんだろうな、やっぱり。
けど、今となってはどうしようもないことなんだよな。
ここにいる綾波は僕の知ってる綾波じゃないわけなんだし。
あの綾波はもうどこにもいないんだから。
そう思って軽くため息をつくと。
「・・・どうしたの?」
ってささやくような声がして。
「綾波?」
「エヴァに乗るのが嫌なの?」
「え?」
「それともさっきのことが気になっているの?」
さっきのこと?
ああ、トウジに殴られたことか・・・
「違うよ。別にそういうわけじゃない。」
そんなのどうでもいいことだ。
悩むようなことじゃない。
「・・・そう。」
「けど、なんでそう思うのさ?」
「・・・ため息をついてたから。」
「ふーん。」
結局、綾波はそれ以上口を開かなかったんだけど。
今の会話を省みるに・・・
僕のことを心配してくれたって事なのか?
綾波が?
なんか予想外だな。
どういうことなんだろう。
それに、「エヴァに乗りたくない」とか、「トウジに殴られたこと」とかは前の僕なら気にしてて当然のことではあるけれど。
でも、それを綾波が思いつくってのがなぁ・・・
そもそも、まわりのことなんかに関心を持ってないはずじゃなかったのか、綾波は。
まぁ、悩んでても答えの出るようなことじゃないんだけどさ。
そのうちにネルフにも着いちゃったし。
それでプラグスーツに急いで着替えさせられて、あっという間に発進させられて。
で、使徒が目の前にいる状況なんだよね。
もうちょっと余裕が欲しい気もするけれど。
仕方ないか・・・
「いい、シンジ君。敵ATフィールドを中和しつつパレットの一斉射。練習どおりよ、いいわね?」
「はい。」
どうせ、効かないんだけどね。
ま、言われたとおりにやってけばいいか。
こんなことで反抗しても意味ないし。
それで、パレットガンを撃ちまくったんだけど。
やっぱり全然効いてなくて。
それで、弾着の煙で何も見えなくなってさ。
そうしたらバカよばわりだもんなぁ・・・
言われたとおりにやったていうのにさ。
とか思ってたら煙の中から光のムチが伸びてきて。
気付いたら空に放り投げられてた。
ってこれじゃあ前と全然変わらないじゃないか。
なるように任せるとそうなるのかなぁ。
こんなこと考えてる辺りは前と違って余裕があるって事だけど。
丘の中腹に落っこちて。
起きあがろうとして体を支えたエヴァの左手の指の隙間にトウジとケンスケが震えてるのを見て。
さすがにそんな余裕は吹っ飛んだ。
なんでこんなとこまで前と同じなんだって毒づきたくなったけど。
それより。
・・・どうすればいいんだ?
前と同じようにトウジ達をエヴァに乗せる?
で命令違反でお説教・・・それは面倒だな。
なら見捨てて使徒を倒す。
・・・トウジ達がどうなるかわからないってのは後味悪すぎるな、さすがに。
トウジ達を巻き込まないようにうまく戦う。
そんなことができたら世話はないよな。
なら。
選べる答えはひとつだけ。
でも、そうするのが一番楽なのかもしれないな・・・
勝てることだけは分かってるんだから。
結局。
僕は前と全く同じ事をした。
けれど。
使徒の光のムチに体を貫かれた痛みも。
トウジ達の心配そうな視線も。
今の僕にはどうでも良かった。
・・・気付いてしまったんだ。
未来を変えられなかったっていうのはそう決まってるからじゃない。
単に僕にその力がないだけなんだって。
ぎりぎりの場面で安易な選択をしてしまう。
つまり、何かを変えるだけの能力も気力も。
僕にはないってことに。
綾波は一言もしゃべらなくて。
ただもくもくと着いてきてるだけなんだけれども。
まぁ、僕のほうからも話しかけたりしてないっていうのもあるんだけどさ。
そもそもどんな話題を持ち出せばいいのかなんて思いつかないし。
そういえば、綾波がどんなことに興味を持ってるかとか、そんなことはほとんど知らないんだよな。
でも、あの頃綾波と話したことってなんか他愛もないことばかりだった気がするな。
綾波はそれをただ静かに聞いてくれて。
たまに、かすかな反応を見せてくれる。
そんななんでもないひとときだったんだけど。
あの時の僕は幸せだったんだろうな、やっぱり。
けど、今となってはどうしようもないことなんだよな。
ここにいる綾波は僕の知ってる綾波じゃないわけなんだし。
あの綾波はもうどこにもいないんだから。
そう思って軽くため息をつくと。
「・・・どうしたの?」
ってささやくような声がして。
「綾波?」
「エヴァに乗るのが嫌なの?」
「え?」
「それともさっきのことが気になっているの?」
さっきのこと?
ああ、トウジに殴られたことか・・・
「違うよ。別にそういうわけじゃない。」
そんなのどうでもいいことだ。
悩むようなことじゃない。
「・・・そう。」
「けど、なんでそう思うのさ?」
「・・・ため息をついてたから。」
「ふーん。」
結局、綾波はそれ以上口を開かなかったんだけど。
今の会話を省みるに・・・
僕のことを心配してくれたって事なのか?
綾波が?
なんか予想外だな。
どういうことなんだろう。
それに、「エヴァに乗りたくない」とか、「トウジに殴られたこと」とかは前の僕なら気にしてて当然のことではあるけれど。
でも、それを綾波が思いつくってのがなぁ・・・
そもそも、まわりのことなんかに関心を持ってないはずじゃなかったのか、綾波は。
まぁ、悩んでても答えの出るようなことじゃないんだけどさ。
そのうちにネルフにも着いちゃったし。
それでプラグスーツに急いで着替えさせられて、あっという間に発進させられて。
で、使徒が目の前にいる状況なんだよね。
もうちょっと余裕が欲しい気もするけれど。
仕方ないか・・・
「いい、シンジ君。敵ATフィールドを中和しつつパレットの一斉射。練習どおりよ、いいわね?」
「はい。」
どうせ、効かないんだけどね。
ま、言われたとおりにやってけばいいか。
こんなことで反抗しても意味ないし。
それで、パレットガンを撃ちまくったんだけど。
やっぱり全然効いてなくて。
それで、弾着の煙で何も見えなくなってさ。
そうしたらバカよばわりだもんなぁ・・・
言われたとおりにやったていうのにさ。
とか思ってたら煙の中から光のムチが伸びてきて。
気付いたら空に放り投げられてた。
ってこれじゃあ前と全然変わらないじゃないか。
なるように任せるとそうなるのかなぁ。
こんなこと考えてる辺りは前と違って余裕があるって事だけど。
丘の中腹に落っこちて。
起きあがろうとして体を支えたエヴァの左手の指の隙間にトウジとケンスケが震えてるのを見て。
さすがにそんな余裕は吹っ飛んだ。
なんでこんなとこまで前と同じなんだって毒づきたくなったけど。
それより。
・・・どうすればいいんだ?
前と同じようにトウジ達をエヴァに乗せる?
で命令違反でお説教・・・それは面倒だな。
なら見捨てて使徒を倒す。
・・・トウジ達がどうなるかわからないってのは後味悪すぎるな、さすがに。
トウジ達を巻き込まないようにうまく戦う。
そんなことができたら世話はないよな。
なら。
選べる答えはひとつだけ。
でも、そうするのが一番楽なのかもしれないな・・・
勝てることだけは分かってるんだから。
結局。
僕は前と全く同じ事をした。
けれど。
使徒の光のムチに体を貫かれた痛みも。
トウジ達の心配そうな視線も。
今の僕にはどうでも良かった。
・・・気付いてしまったんだ。
未来を変えられなかったっていうのはそう決まってるからじゃない。
単に僕にその力がないだけなんだって。
ぎりぎりの場面で安易な選択をしてしまう。
つまり、何かを変えるだけの能力も気力も。
僕にはないってことに。