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第55話

 紅い瞳でまっすぐに僕を見つめて。

 それから、綾波はゆっくりとカバンをあけて何かの包みを取り出して。

 そして、それを持ってゆっくりと僕のほうに歩いて来た。

 あれは・・・お弁当?

「・・・はい。」

 そう言って差し出してくる。

「あ、ありがと・・・」

 と、思わず受け取ってしまったけれども。

 わざわざ僕の分を作ってきたのか?

 学校に来るかどうかも分からなかっただろうに。

 そう考えると。

 すごく居たたまれない気持ちになってしまって。

 どうしたらいいんだろうって思ったところで。

 周りの妙な雰囲気に気付いた。

 綾波が怖いのか、静かではあるんだけど。

 興味津々っていうのが伝わってきた。

 綾波が僕のお弁当を作ってるってところが気になるんだろうけどさ。

 こっちはそれどころじゃなかった。

 綾波がずっと僕の目を見つづけてるんだ。

 表情一つ変えないで。

 ただ、じっと。

 そしてポツリとつぶやいた。

「昨日はどこに居たの?」

「・・・う。」

 そう来るか。

 その程度には気にされてたって事なのかな。

 だからって嬉しいわけでもないけれど。

 それに答えようがないんだよな。

 ここでアスカのとこに泊まったなんていえるわけないし。

 それに綾波にそう言うのってなんかまずい気がする。

 で、何も言えずに居ると。

 すっと一歩前に出ながら。

「どうして帰ってこなかったの?」

 さらなる爆弾を投下してきた。

 同時に教室の空気が変わる。

 戸惑いから理解、そして驚き。

 何を考えてるかっていのうは予想はつくんだよね。

 これは・・・ばれたかな。

 困ったなとは思ったけれども。

 今の問題はこの場をどうするかなんだ。

 だけど正直何も思い浮かばない。

 ごまかしても無駄だろうし。

 嘘はつきたくない。

 だから黙ったままで居ると。

 綾波は僕の後ろのアスカのほうをチラッと見て。

 それから軽く目を細めて。

「あの人のところにいたの?」

 って聞いてきた。

 何でそういう結論なるんだ、って思ったけれど。

 事実なだけに何も言えない。

 でも何も言わなきゃ認めてるのと同じだよなって。

 なかばパニックに陥りかけたとき。

「そうよ。」

 あっさりとアスカがそう答えた。

「惣流さん?」

 いきなりなに言い出すんだって感じで。

 思わず振り返ってしまったけれど。

 アスカはそれを無視するように。

「で、それがどうしたっての?」

 からかうような口調で言い放った。

「大体サードがどこで何しようがアンタには関係ないでしょ?それとも路頭に迷ってるの拾ったからって飼い主気取り?」

 その言い方はあんまりだと思うんだけれど。

「・・・どうしてそういうこと言うの?」

 眉をひそめて綾波が返した。

 アスカは、はんって笑って。

「アンタがねちねちいじめてるのが鬱陶しいだけよ。」

 そう言い切った。

 それからしばらくにらみ合いが続いたんだけど。

 やがて。

「・・・・・・そう。」

 ってささやくようにつぶやいて。

 綾波は席に戻ってしまった。

 そして。

 さっきまでの張り詰めた雰囲気はいつのまにか消えていた。

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