第52話
「綾波と会ったのは、僕がこの街に来たときだったんだ。」
結局、僕はアスカに話しはじめてた。
僕が「はじめて」綾波とあったときのことを。
まぁ、全部本当のことを言うとぼろが出るから。
適当にごまかすつもりではあるけど。
「ここに来た、って・・・確かアンタっていきなりエヴァに乗せられたのよね?」
「そうだよ。でも、エヴァに乗って使徒と戦え、なんて突然言われたってさ。」
そう言って肩をすくめて見せる。
「で、押し問答してたら、父さんが綾波を呼んできたってわけ。」
「・・・どういうこと?」
「僕の代わりに初号機に乗れって事だったんだけど。綾波は大怪我してたんだよね。」
「ケガ?」
「零号機の起動実験が失敗して、その時にね。全身傷だらけでさ、絶対安静だったらしいんだよね。」
「って、そんな状態のファーストを?」
「そうだよ。」
あの時、父さんは本気で乗せようとしてたんだろうな。
僕を乗る気にさせるためだけじゃなくて。
そう、父さんは綾波が大事なわけじゃない。
なにかあったら地下のクローンを使えばいいって思ってるんだろう。
・・・綾波自身もそう思ってるのかもしれないけどさ。
「にしてもヒドイ話ねぇ・・・」
苦い顔をしながらアスカがつぶやいた。
「そんなもんだよ。」
「なに悟ってるわけ?」
「だってさ、ずっとここでエヴァに乗ってたら・・・ね。」
チルドレンって正直ろくな扱いされてないんだよな。
「それはそうかもね。・・・で、結局アンタが乗ったのよね?」
「まぁね。」
「つまりそういう状況に追い込まれてやむをえず乗ったって事?」
「半分はね。」
「半分?」
「いろいろ考えることはあったんだよ。父さんに認めてほしいとか、さ。」
「・・・ファザコン?」
ジト目で見ないで欲しいな。
「三年間も会ってなかったからね。夢を持ってたんだよ。」
「今は違うわけ?」
「父さんが僕を見ることなんてないって分かったからね。」
特に、今日のお墓参りではっきりと思い知らされた。
「あの人にとって大事なのは母さんだけなんだよ。」
そして他の誰も見ていない。
「じゃあファーストはどうなのよ?」
たしかに、そういう意味では綾波への態度は謎なんだけど。
待てよ。
綾波が大事なわけじゃなくて・・・綾波の存在が必要なのか?
父さんの、目的のために。
それなら納得できるような気もするな。
「何考え込んでるのよ。」
「いや、なんでもないよ。」
そう答えながらふと思った。
だとしたら綾波がかわいそう過ぎるんじゃないかって。
こんなことを考える自分はずいぶん人がいいんだとも思うけれど。
それからも。
いろいろと話をして。
まぁ、話って言っても、アスカが質問して僕が答えるって形だったんだけど。
気がつくと2時を回ってた。
「ってもうこんな時間?」
ぼろ出さないように答えるので神経使ってたからなぁ。
いったい何時間くらい話しつづけたんだろう。
「そろそろ寝る?」
「だね。」
学校もあるし・・・ってここから学校行くのか?
アスカと一緒に、ってひどくまずいような。
かといって下手に時間ずらすようなことしてアスカの機嫌そこねるのもアレだし。
どうしようかなぁ。
とか思ってると。
「あれ、玄関のほうで音がしてない?」
なんかガチャガチャ言ってる。
「ミサトが帰ってきたんじゃない?」
ずいぶん投げやりだなぁ。
「にしてもさ・・・」
「なんだ、まだ起きてるのか?ちょっとおじゃまするよ・・・っとシンジ君じゃないか。」
「あ、加持さん。」
ミサトさんに肩を貸すようにしながら加持さんが入ってきた。
「こいつが酔いつぶれちゃったんでね。」
そう言いながら軽くミサトさんのほうにあごをしゃくる。
「さっさと寝かせてやりたいんだが、部屋はどこかな?」
「あ、こっちです。」
アスカがミサトさんの部屋に案内してる。
しばらくして、軽くため息をつきながら二人が戻ってきた。
「葛城の酒癖の悪さにも困ったものさ。」
「ミサトの場合、酒癖だけじゃないと思うけど。」
「ま、そりゃそうだ。にしてもなんでシンジ君がここにいるんだ?」
興味深げに聞いてきた。
「その、いろいろあって泊めてもらうことになったんです。」
「ふぅん?」
もう少し聞きたそうではあったけど。
深くは追求せずにいてくれた。
「まぁ、何か悩み事があれば相談には乗るよ。」
でも加持さんって肝心なとこを教えてくれないんだよなぁ。
「もう帰っちゃうの?もう少しゆっくりしていけばいいのに。」
「明日のこともあるしね。君らだって学校だろ?」
「別に休んだっていいんだけど。」
「俺はそうもいかないんでね、これで失礼するよ。」
そう言ってさっさと帰ってしまい。
「んじゃ、アタシも寝るわ。オヤスミ。」
アスカも自分の部屋に入っていってしまった。
「あ、うん、おやすみ。」
僕も寝るか。
っと、そういえば。
綾波に何も言ってないんだよな。
もしかして心配、してるかな。
・・・まさかね。
そんなことないさ、きっと。
結局、僕はアスカに話しはじめてた。
僕が「はじめて」綾波とあったときのことを。
まぁ、全部本当のことを言うとぼろが出るから。
適当にごまかすつもりではあるけど。
「ここに来た、って・・・確かアンタっていきなりエヴァに乗せられたのよね?」
「そうだよ。でも、エヴァに乗って使徒と戦え、なんて突然言われたってさ。」
そう言って肩をすくめて見せる。
「で、押し問答してたら、父さんが綾波を呼んできたってわけ。」
「・・・どういうこと?」
「僕の代わりに初号機に乗れって事だったんだけど。綾波は大怪我してたんだよね。」
「ケガ?」
「零号機の起動実験が失敗して、その時にね。全身傷だらけでさ、絶対安静だったらしいんだよね。」
「って、そんな状態のファーストを?」
「そうだよ。」
あの時、父さんは本気で乗せようとしてたんだろうな。
僕を乗る気にさせるためだけじゃなくて。
そう、父さんは綾波が大事なわけじゃない。
なにかあったら地下のクローンを使えばいいって思ってるんだろう。
・・・綾波自身もそう思ってるのかもしれないけどさ。
「にしてもヒドイ話ねぇ・・・」
苦い顔をしながらアスカがつぶやいた。
「そんなもんだよ。」
「なに悟ってるわけ?」
「だってさ、ずっとここでエヴァに乗ってたら・・・ね。」
チルドレンって正直ろくな扱いされてないんだよな。
「それはそうかもね。・・・で、結局アンタが乗ったのよね?」
「まぁね。」
「つまりそういう状況に追い込まれてやむをえず乗ったって事?」
「半分はね。」
「半分?」
「いろいろ考えることはあったんだよ。父さんに認めてほしいとか、さ。」
「・・・ファザコン?」
ジト目で見ないで欲しいな。
「三年間も会ってなかったからね。夢を持ってたんだよ。」
「今は違うわけ?」
「父さんが僕を見ることなんてないって分かったからね。」
特に、今日のお墓参りではっきりと思い知らされた。
「あの人にとって大事なのは母さんだけなんだよ。」
そして他の誰も見ていない。
「じゃあファーストはどうなのよ?」
たしかに、そういう意味では綾波への態度は謎なんだけど。
待てよ。
綾波が大事なわけじゃなくて・・・綾波の存在が必要なのか?
父さんの、目的のために。
それなら納得できるような気もするな。
「何考え込んでるのよ。」
「いや、なんでもないよ。」
そう答えながらふと思った。
だとしたら綾波がかわいそう過ぎるんじゃないかって。
こんなことを考える自分はずいぶん人がいいんだとも思うけれど。
それからも。
いろいろと話をして。
まぁ、話って言っても、アスカが質問して僕が答えるって形だったんだけど。
気がつくと2時を回ってた。
「ってもうこんな時間?」
ぼろ出さないように答えるので神経使ってたからなぁ。
いったい何時間くらい話しつづけたんだろう。
「そろそろ寝る?」
「だね。」
学校もあるし・・・ってここから学校行くのか?
アスカと一緒に、ってひどくまずいような。
かといって下手に時間ずらすようなことしてアスカの機嫌そこねるのもアレだし。
どうしようかなぁ。
とか思ってると。
「あれ、玄関のほうで音がしてない?」
なんかガチャガチャ言ってる。
「ミサトが帰ってきたんじゃない?」
ずいぶん投げやりだなぁ。
「にしてもさ・・・」
「なんだ、まだ起きてるのか?ちょっとおじゃまするよ・・・っとシンジ君じゃないか。」
「あ、加持さん。」
ミサトさんに肩を貸すようにしながら加持さんが入ってきた。
「こいつが酔いつぶれちゃったんでね。」
そう言いながら軽くミサトさんのほうにあごをしゃくる。
「さっさと寝かせてやりたいんだが、部屋はどこかな?」
「あ、こっちです。」
アスカがミサトさんの部屋に案内してる。
しばらくして、軽くため息をつきながら二人が戻ってきた。
「葛城の酒癖の悪さにも困ったものさ。」
「ミサトの場合、酒癖だけじゃないと思うけど。」
「ま、そりゃそうだ。にしてもなんでシンジ君がここにいるんだ?」
興味深げに聞いてきた。
「その、いろいろあって泊めてもらうことになったんです。」
「ふぅん?」
もう少し聞きたそうではあったけど。
深くは追求せずにいてくれた。
「まぁ、何か悩み事があれば相談には乗るよ。」
でも加持さんって肝心なとこを教えてくれないんだよなぁ。
「もう帰っちゃうの?もう少しゆっくりしていけばいいのに。」
「明日のこともあるしね。君らだって学校だろ?」
「別に休んだっていいんだけど。」
「俺はそうもいかないんでね、これで失礼するよ。」
そう言ってさっさと帰ってしまい。
「んじゃ、アタシも寝るわ。オヤスミ。」
アスカも自分の部屋に入っていってしまった。
「あ、うん、おやすみ。」
僕も寝るか。
っと、そういえば。
綾波に何も言ってないんだよな。
もしかして心配、してるかな。
・・・まさかね。
そんなことないさ、きっと。