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第51話

 そうやって話をしているうちに夜もふけて。

 今、アスカはお風呂に入ってるわけなんだけど。

 なんか落ち着かない。

 綾波ならまったく気にしないでいられるんだけどね。

 アスカは・・・アスカだから。

 どうしても、意識してしまう。

 前の世界でもそうだった。

 一緒に暮らしてるうちにある程度は慣れたけど。

 それでもいろいろと思うところはあるわけで。

 変にからかわれたりするのが嫌だったから、抑えようと努力はしてたけど。

 アスカにはばれてたんじゃないかって気もする。

 まぁ、お互いそれを知らないふりで流すくらいのことはできたんだよね。

 最後の頃はそんな余裕もなくなって。

 思い出すのも嫌な状態になったけど。

 ・・・あんなのはもうごめんだ。

 だから。

 僕が僕だってことをばらすわけにはいかない。

 アスカがそれを知ったらどういう反応をするのか。

 それについては想像もしたくないから。

 今の関係を維持しておきたい。

 そう考えると。

 あんまり親しくなるのも考え物なんだよな。

 話す機会が多くなればぼろも出やすくなるだろうし。

 実際、アスカをだましきれる自信なんてないんだから。



「おさきー」

 頭をタオルでごしごしとやりながらアスカが居間に入ってきた。

 ・・・あれ?

 なんか違和感が。

「ん?どうしたのよ。」

「いや・・・」

 そうか、ちゃんとした服を着てるんだ。

 いつもずいぶんとラフなかっこだったもんな。

 ノースリーブにホットパンツとかさ。

「それよりアンタも入ったら?」

「あ、あぁそうだね。」

 と、電話が鳴り出して。

 アスカが受話器を取ったんだけど。

「うん・・・はいはい、分かってるってば。」

 なんか微妙にそっけないな。

「いいからゆっくりしてなさいって。」

 で、電話を切ると、軽くため息をついた。

「ミサトさん?」

「そ。今日は知り合いの結婚式だったらしいんだけど。なんか加持さんやリツコたちと飲んでるから遅くなるって。」

「ふぅん。」

 よく考えたらミサトさんになんて言えばいいんだろうな。

 どのみち、今日は酔っ払ってるんだろうから。

 説明したって無駄なんだろうけど。

 ま、そのときになってから考えればいいか。



 で、僕がお風呂から出てくると。

 アスカはテーブルにつぶれて暇そうにしてた。

 僕に気づくと体を起こして。

「遅かったじゃない。」

 って少しものうげに言ってきた。

「そうかな?」

「ま、いいわ。それじゃ話の続きね。」

「へ?」

「何よ、その顔は。アレで終わりだと思ったわけ?」

 いや、そうだといいなって思ったんだけど。

「時間はあるし、聞きたいこともまだまだあるのよね。」

「何をそんなに聞きたいのさ?」

「ファーストの馴れ初めとか。」

「・・・」

「ファーストと二人でいてよく間が持つわね、とか。」

「・・・あの」

「そもそも二人でいる時って一体何やってるわけ、とか。」

 口をはさむまもなく言い切って。

 にやりと笑ってこっちを見る。

 まったく。

「綾波とはそういうのじゃないってさっきも言っただろ?」

「でも、いつも一緒にいたのは事実でしょ?」

 それはそうなんだけどさ。

 今はあんまり綾波のこと考えたくないっていうのが正直なとこなんだよな。

「一人で溜め込んでたって何にもなんないわよ?」

 それを見透かすようにアスカがそんなことを言った。

「ショックだったのは分かるけど。いっそ、ぱーっと発散しちゃったら?」

「・・・無茶言うなぁ。」

 でも、それもいいかもしれない。

 こういう時っていつも一人で考えに沈んでたもんな。

 それはあんまり不毛だから。

 誰かに愚痴ってみるのも悪くはないのかもしれないんだけど。

 もっとも、アスカに甘える形になっちゃうっていうのが問題といえば問題なんだよね。

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