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第47話

 しかし。

 何で僕はここでこうしてるんだろうな。

「ほら、何やってんのよ。」

 変に楽しげなアスカの声。

 いや、まあ、それはいいんだ。

 それはいいんだけどさ。

 何でアクセサリーショップにいるのかっていう。

 アスカに引っ張られて気がついたらこんなとこだったんだよな。

 もっともそれを言い出したら、こうしてアスカに付き合ってることもなんだよなぁ。

 なんか綾波のときといい、引っ張られるとそのままついていくクセがついてるような。

 もともと押しに弱い性格してたとは思うんだけどさ。

 にしても、こうしてボーっとしてるとひどく浮いてる気がする。

 大体ほかの客なんて女の子ばっかりで。

 男がいるっていってもそれは女の子と一緒にいるわけで。

 まだアスカの隣にいたほうがマシなんだろうか。

 でもそれはそれで目立つんだろうな。

 というよりアスカが人目を引いてるというべきか。

 客観的に言ってアスカはきれいだし。

 まぁ、しかたないんだろうけど。



「ったく、何ボケボケしてんのよ。」

 僕がそばにいくとそういう言葉をかけられて。

 でも、口調は穏やかだった。

 半分からかってるようなものなんだろうな。

「こういうとこって向いてないんだよ。」

 だからこんなことも言える。

「まぁファーストとじゃこういうとこにはこないかもね。」

 それはそうなんだけど。

 そう納得顔で言われてもさ。

 それに綾波のことは今はあまり考えたくないし。

「大体なんでこうしてるわけ?」

「なんとなくだけど?」

 一気に力が抜けるな。

「なんとなくってさぁ・・・」

「いいじゃない。まぁデートみたいなもんってことで。」

「デートならしてきたんじゃなかったっけ?」

「んー、でも、途中ですっぽかしてきたから。」

 あっさりというアスカ。

「すっぽかしたって・・・ひどくない?」

 ・・・どうでもいいとは言ってたけどそこまでしたのか。

 ってなんかそんな話を前も聞いたような。

「っていってもねぇ、本気でつまんないヤツだったから。」

「それはさっきも聞いたけどさ。」

「だいたいねぇ。デート誘うんなら直接言いに来いっての。コネ利用しようってあたりがせこいのよ。」

「そんなものなの?」

 でも、前のアスカだったらあっさり断られるのが目に見えるみたいだったもんなぁ。

 確かに今のアスカになら少しはマシな結果が見えるような気はするけどね。

 僕には関係ない話だけどさ。

「だから、ヒカリ通じて頼んできたあたりでもうダメなわけ。」

「ふぅん。」

「そーいう退屈な連中と付き合うのもねぇ・・・」

 芝居がかったしぐさでため息なんかついてみせる。

「じゃあ何で僕とこうしてるのさ?」

「へ?」

「惣流さんは僕のこと嫌いなんだと思ってたけど?」

 一度、話したくないって言われたはずなんだけど。

 それでも最近よく話し掛けてくれるようになったんで。

 少し不思議に思いつつ。

 理由を聞くのも変だと思ってたんだけどさ。

 さすがにこういう状況になると疑問を抑えられないっていうか。

 もっとも、僕が「僕」だってばれればそれどころじゃなくなる話だけどね。

「あぁ、あれね・・・」

 僕の言葉を聞くとアスカは少し気まずげにして。

「あのことに関してはあやまんなきゃとは思ってたのよ。」

 こんなことを言い出した。

 あやまる?

 アスカが?

 結構意外だよね。

「昔の知り合いで、アンタに似たやつがいたのよ。」

 ・・・もしかして僕のことなわけか?

「ドイツにいた頃の?」

 でもこうやってそ知らぬ顔してる自分が。

 いや、そうしなきゃ変に思われるんだけどさ。

 こういうことができるようになってたんだなって。

「あー、まぁそんなとこ。で、そいつとちょっとあってね。」

 ちょっとって言うのはずいぶん控えめだよね。

「で、そのやつあたりというか、なんというか。」

 だとしたらある意味やつあたりじゃないんだよな。

 そんなこと言えないけどね。

「けど今までのことを考えるとアンタには悪いなって。」

「そういうことならいいんだけどさ。」

「で、これからはよろしくって感じね。」

 そう言って差し出してきた右手を。

 ぎこちなく握ったんだけど。

 ・・・まずいよなぁ。

 アスカといることが楽しくなりかけてる。

 そんな資格、あるわけないのにね。

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