第45話
目がさめるといつもの病室だった。
最初、何がなんだかわからなかったんだけど。
確か実験中に暴走が起こったんだっけ。
前もそうだったけど、それから後のことは記憶にないんだよな・・・
なにか変な夢を見たような気がするんだけど。
まぁ、悩んだところで思い出せるわけでもないか。
にしても頭が重い。
暴走とかで意識を失ったあとっていつもこうなんだよな。
検査とかもあるし。
いろいろと面倒なんだよねぇ。
体を起こして頭を軽く振ると、ベッドのそばに綾波が座っていた。
何かの本を読んでいたみたいで。
それを静かにかたわらにおいて僕のほうに軽く視線を向けた。
前まではそんな光景になんとなく安心するような気分を感じていたんだけど。
今日はなんか嫌な気分だった。
それがなんでかはわからなくて。
それで、綾波に何も言えず。
綾波から何かを言ってくることもなくて。
検査のために呼び出されるまで僕たちはただ黙ったままで。
どことなく居心地の悪い時間を過ごした。
検査の結果、特に問題なしってことで。
その日のうちに解放されて綾波といっしょに家に帰ったんだけど。
何で綾波がいることで嫌な気分になったのか、やっぱり気になって。
綾波がどうっていうわけじゃないんだよね。
普段と何が変わってるってわけでもない。
僕のことを心配してくれてるのか、少し視線を向けてくることが多いくらい。
気になるってほどでもない。
「・・・どうしたの?」
綾波が少し首を傾げてこちらを見ている。
綾波のほうをずっと見ながら考え事してたもんな。
変に思うよな、それは。
「なんでもないよ。」
そう答えて。
そして自己嫌悪に襲われる。
またこうやってごまかしてる。
「・・・そう。」
綾波がこうやって深く突っ込まずにいてくれるから。
ヒドイ話だよね、われながら。
それから、すこしギクシャクしてしまった生活を送って。
何とかしなきゃなって思ってたんだけど。
結局、綾波に対して感じる説明しようのない嫌な感じっていうのは消えないままで。
どうしたらいいか分からないままに何日かたったある日。
父さんから呼び出しを受けた。
母さんの墓参り。
実はあんまり行きたいわけでもなかった。
あのお墓には何もないんだし。
正直、いまさら父さんと会って何かを話したいわけでもない。
話すことなんて何もないんだから。
それでも結局出かけてしまったのは。
母さんはやっぱり母さんだってことなのかもしれない。
それで。
でかけるから、って綾波に言っておこうと思ったら。
綾波も実験らしい。
相変わらず大変だよなとか思いつつ。
にしても、何で父さんは僕を呼んだんだろうな。
僕に会いたいなんてこともないだろうし。
それに、あの時の父さんは妙に口数が多かった。
それでなんとなく家族みたいだとか、そんなこと思ってたんだよな。
単なる思い違いだっていうのは嫌というほど分かったけどさ。
まぁ、父さんにとって母さんが特別だったってことくらいは分かったけどね。
僕のことなんてどうでもいいんだろうに。
そんなことを考えてるうちに墓地について。
父さんはすでに母さんのお墓の前にたたずんでいた。
僕はゆっくりと近づき、お花を添えてひざまずく。
「三年ぶりだな、二人でここに来るのは。」
妙にしみじみと父さんが言う。
「・・・そうだね。僕はあれからここには来てないから。」
来る理由なんてなかったから。
「ここに、母さんが眠ってるわけじゃないんだよね。」
「そうだ。」
父さんは確認のために来てるとか言ってたっけ。
母さんから忘れてはいけないものがあるってことを教えてもらったとか。
「写真も何も、母さんのものって何も残ってないんだよね。」
「すべては心の中だ。今はそれでいい。」
・・・父さんはそれでいいんだろうけどさ。
おかげで僕は母さんの顔さえわからない。
勝手な話だよね、まったく。
でも言っても無駄なんだろうって分かってるから。
だから何も言わなかった。
しばらくそのままお互いに何も言わずにいて。
「時間だ。」
ネルフの飛行艇が降りてくる音。
ほんと、何しに来たんだろうな僕は。
ゆっくりと立ち上がって父さんの後姿を見つめる。
視線の先。
飛行艇の中に綾波がいた。
何で綾波がここにいるんだ?
何で、父さんと一緒にいるんだ?
実験じゃ・・・なかったのか?
最初、何がなんだかわからなかったんだけど。
確か実験中に暴走が起こったんだっけ。
前もそうだったけど、それから後のことは記憶にないんだよな・・・
なにか変な夢を見たような気がするんだけど。
まぁ、悩んだところで思い出せるわけでもないか。
にしても頭が重い。
暴走とかで意識を失ったあとっていつもこうなんだよな。
検査とかもあるし。
いろいろと面倒なんだよねぇ。
体を起こして頭を軽く振ると、ベッドのそばに綾波が座っていた。
何かの本を読んでいたみたいで。
それを静かにかたわらにおいて僕のほうに軽く視線を向けた。
前まではそんな光景になんとなく安心するような気分を感じていたんだけど。
今日はなんか嫌な気分だった。
それがなんでかはわからなくて。
それで、綾波に何も言えず。
綾波から何かを言ってくることもなくて。
検査のために呼び出されるまで僕たちはただ黙ったままで。
どことなく居心地の悪い時間を過ごした。
検査の結果、特に問題なしってことで。
その日のうちに解放されて綾波といっしょに家に帰ったんだけど。
何で綾波がいることで嫌な気分になったのか、やっぱり気になって。
綾波がどうっていうわけじゃないんだよね。
普段と何が変わってるってわけでもない。
僕のことを心配してくれてるのか、少し視線を向けてくることが多いくらい。
気になるってほどでもない。
「・・・どうしたの?」
綾波が少し首を傾げてこちらを見ている。
綾波のほうをずっと見ながら考え事してたもんな。
変に思うよな、それは。
「なんでもないよ。」
そう答えて。
そして自己嫌悪に襲われる。
またこうやってごまかしてる。
「・・・そう。」
綾波がこうやって深く突っ込まずにいてくれるから。
ヒドイ話だよね、われながら。
それから、すこしギクシャクしてしまった生活を送って。
何とかしなきゃなって思ってたんだけど。
結局、綾波に対して感じる説明しようのない嫌な感じっていうのは消えないままで。
どうしたらいいか分からないままに何日かたったある日。
父さんから呼び出しを受けた。
母さんの墓参り。
実はあんまり行きたいわけでもなかった。
あのお墓には何もないんだし。
正直、いまさら父さんと会って何かを話したいわけでもない。
話すことなんて何もないんだから。
それでも結局出かけてしまったのは。
母さんはやっぱり母さんだってことなのかもしれない。
それで。
でかけるから、って綾波に言っておこうと思ったら。
綾波も実験らしい。
相変わらず大変だよなとか思いつつ。
にしても、何で父さんは僕を呼んだんだろうな。
僕に会いたいなんてこともないだろうし。
それに、あの時の父さんは妙に口数が多かった。
それでなんとなく家族みたいだとか、そんなこと思ってたんだよな。
単なる思い違いだっていうのは嫌というほど分かったけどさ。
まぁ、父さんにとって母さんが特別だったってことくらいは分かったけどね。
僕のことなんてどうでもいいんだろうに。
そんなことを考えてるうちに墓地について。
父さんはすでに母さんのお墓の前にたたずんでいた。
僕はゆっくりと近づき、お花を添えてひざまずく。
「三年ぶりだな、二人でここに来るのは。」
妙にしみじみと父さんが言う。
「・・・そうだね。僕はあれからここには来てないから。」
来る理由なんてなかったから。
「ここに、母さんが眠ってるわけじゃないんだよね。」
「そうだ。」
父さんは確認のために来てるとか言ってたっけ。
母さんから忘れてはいけないものがあるってことを教えてもらったとか。
「写真も何も、母さんのものって何も残ってないんだよね。」
「すべては心の中だ。今はそれでいい。」
・・・父さんはそれでいいんだろうけどさ。
おかげで僕は母さんの顔さえわからない。
勝手な話だよね、まったく。
でも言っても無駄なんだろうって分かってるから。
だから何も言わなかった。
しばらくそのままお互いに何も言わずにいて。
「時間だ。」
ネルフの飛行艇が降りてくる音。
ほんと、何しに来たんだろうな僕は。
ゆっくりと立ち上がって父さんの後姿を見つめる。
視線の先。
飛行艇の中に綾波がいた。
何で綾波がここにいるんだ?
何で、父さんと一緒にいるんだ?
実験じゃ・・・なかったのか?