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第26話

 そんなおり。

 修学旅行がどうとかって話があって。

 それ自体には別に意味はないんだけれど。

 どうせ、行けないんだし。

 問題なのはその、行けない原因の方なわけで。

 要するに、もうすぐ使徒戦があるってことで。

 使徒戦が近づくといやでもいろいろ考えちゃって。

 タダでさえ悩み事は多いのにさ。

 だからうっとうしいんだよね。

 もっとも今回はアスカが出撃することになるから。

 僕にできる事なんてほとんどないんだけれど。

 せいぜいアドバイスをするくらいか。

 作戦に関してって事ならアスカも聞いてくれるんだろうし。

 それに、よく考えたら倒し方は分かってるわけだし。

 今回は楽な方かもしれないな。



 それで。

 思った通りに、ミサトさんから修学旅行にいけないって言われて。

 僕はそのことを分かってたし。

 綾波もそういうのに興味なさそうだから。

 僕達がそのことにたいして文句も言わなかったのは当然なんだけど。

 アスカも別になにも言わなくて。

 それが不思議でもあったんだけど。

 今のアスカならそれもありかって気もして。

 結局なにも分かってないんだよなって。

 何かあるたびに思わされてる気がする。

 それはともかく。

 修学旅行に行けない代わりって、ネルフのプールを開放してくれるって事になったんだけど。

 泳げない僕がプールで何するんだって感じだしなぁ。

 だから家で綾波とのんびりしてようと思ったんだけど。

 なんか綾波が妙にプールに乗り気で。

 理由を聞いてみたら。

「・・・水に浮かぶのが好きだから。」

 ってお返事だった。

 そういうことならプールもいいかなとも思って。

 プールサイドでぼーっとしてればいいんだし。

 それで一緒に行ってみたんだけど。

 さすがにアレだけ広いプールで二人だけってのも結構わびしいものがあった。

 たしか前はアスカもいたんだよな。

 っていうかアスカに無理やり連れてこられたような気がする。

 そうしたら綾波がいて。

 今みたいに体を浮かべてたんだっけ。

 それは変わらないんだけど。

 やっぱり一人いないだけでずいぶん違うなとか思ったりもした。

 それに、アスカはなんのかんの言って僕をかまいつけてたからなぁ。

 アスカといる時は退屈はしなかった気がする。

 まぁ、それも今となってはって事なんだけどさ。



 そうこうしているうちに。

 使徒戦の当日になって。

 出撃するのはやっぱりアスカで。

 まぁ、D型装備を使えるのが弐号機だけだから当然なんだけど。

 前と違うのはアスカが駄々をこねなかったって事かな。

 今のアスカはずいぶん大人なんだよなって思う。

 それとも単にエヴァに乗りつづけるために我慢してるだけなんだろうか。

 エヴァに乗ることが自分の存在価値だ、みたいな事を前に言ってた気もするし。

 なんにせよ。

 アスカの物分りが良いっていうのはこっちには助かることだから。

 それはいいんだけどさ。

 違和感と、ちょっとしたさびしさはあって。

 まぁ、それにも慣れてかなきゃいけないんだろうな。

 結局は前のアスカの思い出のせいなんだから。

 引きずった所で意味がない。

 そのはずだから。



 実際の戦闘はあっさりと終わった。

 大筋は前と同じ。

 ただ、使徒の倒し方はアスカが自分で思いついた。

 僕はただ見てるだけ。

 それで何事もなく終わったと思ったんだけど。

 でも、弐号機をつるしてる命綱が切れて。

 結局溶岩の中に飛び込む羽目になった。

 おかげで全身が軽いヤケドの状態になって。

 治るまで結構つらかった。

 シンクロ率が上がってたせいで前よりひどいことになったらしい。

 もっともそんなことはどうでもよくて。

 初号機と一緒に引き上げられた弐号機の中でアスカがポツリと漏らした言葉。

「また、シンジに助けられるなんて。」

 っていう一言。

 多分、独り言だったんだろうと思う。

 だからよけいに気になるんだけれど。

 アスカが僕のことを「シンジ」って呼んでる事と。

 「また」っていうのがどういう意味なのか。

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