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第25話

「なあシンジ、お前惣流と仲悪いのか?」

 ある日の昼。

 いつものように屋上で食事をしてた時。

 急にケンスケにこんなことを聞かれた。

「なんでそんなこと聞くのさ?」

 なんて答えていいかとっさには分からなくて。

 それで思わず問い返してた。

「いや、惣流のまわりにみんな集まって話してるような時とか、いつもお前たちって二人で離れたとこにいるしさ。」

 それは確かに本当のことで。

「それに、廊下とかで顔合わせてもロクに挨拶もしてないだろ?」

 それも事実で。

 いや、最初はきちんと挨拶してたんだけど。

 でも、あっちの方で無視してくれるものだから。

 そのうちにしなくなったというか。

 アスカはあの時言った言葉を忠実に守ってくれてるみたいで。

 僕と個人的に話をするつもりっていうのはまったくないらしい。

 今にいたるまでそのスタンスは変わってなくて。

 それは辛いことだったんだけど。

 でもこの頃は、それほどでもなくなってしまっている。

 自分でも不思議なんだけど。



「で、惣流の方でもお前のこと避けてるみたいだしさ。」

 ケンスケの話はまだ続いてたらしい。

「同じエヴァのパイロット同志なんだろ?それで平気なのかって思ってさ。」

 結局ケンスケの興味ってその辺なのかなぁって思ったけど。

 でも、それだけでもないだろうな。

 心配してくれてるんだろう。

 それをストレートに出さないだけで。

「大丈夫だよ。そんなに仲が悪いわけじゃないからさ。・・・まぁ、良くもないけど。」

 だから無難な答えをひねり出してみる。

 いや、良い悪いを言えるレベルでもないんだけどさ。

 それすらもわからないというか。

 さすがにそう言うわけにもねぇ・・・。

「そんならいいんだけどさ。・・・惣流って結構まわりのやつに話しかけてるからさ。なのになんでお前のことだけって、ちょっとな。」

「なんか変なことでもしたんやないのか?」

 今まで食べるのに夢中だったトウジが口を挟んできた。

「なんにもしてないつもりだけど?」

 大体、会ったときからあんな感じだったもんなぁ。

 正直言って、何か原因があるなら知りたいけど。

 前のときは実戦経験があったとか、シンクロ率がはじめから高かったとか。

 そんなことのせいで目の敵にされてたんだよな、たしか。

 そう言う意味ではエヴァを操縦することに関しては前よりも上手くやってるはずだから。

 だから前以上に敵意を持たれてるってのもありえない話じゃないんだけど。

 でも今回のってそれとは違う気がするし。

 もしそうなら、アスカはもっと直接ぶつかってくる気がするから。

「・・・ふぅ。」

 結局わからないって答えが出るだけなんだよな。

 今までに何度か考えはしたんだ、一応は。

 しょせん、いくら前の記憶があっても。

 それくらいで他人のことがわかったら苦労はないって事なのかな。

 そのため息を誤解したのか。

 トウジとケンスケはいろいろと慰めてくれたりしたんだけれど。

 それはそれだけのことで。

 適当に合わせておいてその場は終わったんだけど。



 それで少し気になったのが。

 綾波が一言もしゃべってないって事で。

 前は、アスカのっていうかアスカと僕との関係を結構気にしてたみたいだったはずなのに。

 最近はその話題になっても口を挟まなくなってきてるというか。

 気にもしてないような感じなんだよな。

 もっとも、綾波がどう思ってるかっていうのも僕には読めないんだけどさ。

 さすがに一緒に暮らすようになって。

 それなりに表情の違いがわかるようになって来たんだけど。

 それは綾波が表情を出してくれてる時で。

 隠されたらお手上げなんだよな。

 だからって聞くわけにもいかないし。

 なんか、アスカが来てから悩み事が増えたよなぁ・・・

 予想はしてたことなんだけど。

 おかげで先のことについて悩まなくなったっていうのが唯一の救いかもしれない。

 単にそれどころじゃなくなってるってだけなんだけどさ。

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